＜設立の目的・経緯＞

日本患者由来がんモデル学会は、患者由来がんモデルの樹立や応用に携わる研究者を集め、それぞれの研究成果の発表を元に活発な討論を繰り広げることで研究者同士の交流を促進することを目的としてとしています。日本患者由来がんモデル学会は、定期的に催す学術集会が柱となります。本学会の学術集会は2017年より毎年開催されてきた講演会に端を発しています。当初は200～300名ほどの参加者でしたが年々盛況になり、2021年度は500名以上の方が参加されました。そして、このよう学術集会を継続して開催することを目的として2022年に本学会を設立しました。

　患者由来がんモデルは、生体内の腫瘍組織・細胞で起きている事象を体外で再現し、病態の理解に向けて新しい遺伝子・タンパク質の機能を解析したり、新しい抗がん剤の薬効を調べたりするために必須のツールです。生体内の腫瘍組織・細胞を体外で維持する実験は半世紀以上前から試みられてきました。そして、がん研究の発展に伴ってより精緻なモデルが求められるようになってきました。たとえば、ゲノムからプロテオームまで多層的に網羅的な解析が進み、がんの発生や進展の分子機構の解明が進むと、分子レベルの知見を個体レベルの理解へとつなげるためのモデルが重要となってきました。また、長年にわたるがん研究の成果として新しい抗がん剤が続々と開発されるようになり、前臨床試験のレベル向上のために治療応答性をより正確に予測するモデルが求められるようになりました。このような時代の流れを背景に、患者由来がんモデルの開発と応用は近年ますます盛んになっています。

　日本患者由来がんモデル学会は、学際的な交流を促進することで医学・生命科学の発展、そしてがんの診断・治療法の開発に役立つ発見に貢献したいと考えています。ご支援のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。

＜活動＞

年一回の学術集会を開催します。また、患者由来がんモデルを用いた研究や臨床検体・情報を用いた研究に興味のある方の活動を支援します。具体的には、研究のアドバイスを行ったり、研究計画書の作成を支援したりします。